2020/10/02
手 紙  国とアスベスト製造企業を訴える裁判が始まった。集会や裁判所の期日も始まった。この頃になるとアスベストで亡くした奥さんたちとも馴染みになり集まりの後には喫茶店によることが小さな楽しみになっていた。  松本が話しだした。...
2020/10/02
不条理 通っていた堀切病院の院長に美代子は呼ばれた。院長室には担当医師と担当看護師と院長が座っていた。 「石川さん、ご主人のことですけど残念ですけど治療方法はありません。病院か自宅での選択可能です。病院でのホスピス形式を望むのであれば紹介する病院もあります」...
2020/07/20
石綿職業病 美代子は突然のことで労災適用がどんなものか分からないが保障ということばにすがる思いでお願いしますと言った。現場では叱り飛ばすぐらい元気のある茂夫だが、聞くのがせいいっぱいだった。 「がん研病院では労災申請に向き合わないのでアスベスト専門の医師を紹介しますのですぐ行ってくださいね」 松本が専門医の住所を教えてくれた。...
2020/07/20
建設組合 茂夫は建設関係の労働組合に入っていた。 「茂夫、土建組合は病気してもタダだから入れ」 と親方に言われて二十年前には入っていた。...
2020/03/18
白い埃 内装大工に慣れてきた昭和三十九年になると、東京オリンピックがあり建物ラッシュで一年間に一カ月に一日しか休めなかった。代々木の体育館はこれまで見たこともない近代的な建物なので、苦労した。十月十日、東京オリンピックが始まり、飯場の夕飯時に買ったばかりのテレビに茂夫が入った建物が映っていた。自分が大きく感じた。...
2020/03/18
母親からカタカナ交じりの手紙届いたからだった。...
2020/02/22
「荒い風がふけば風よけになり、雨が降れば雨傘にもにる。ゆくゆく足にを つけろ。交通事故に合わないように見ているからな。それがら病院には行って身体を大事にしろ。そして、悪い人にはだまされるな。金によってきたらはなれろよ」 「今日は遠くがら来て俺を呼んでくれてホントに申し訳ない。俺は嬉しくてうれしくてかだづけないな」...
2020/01/13
「ハイ今行きます」...

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